※ もういちどいきかえる の続きです。





予想外の事態に小十郎は思わず目をしばたたかせた。
文を出したのは確かだ。
だが当てたのは父親で、今目の前にいるのは娘の方であった。

「父より片倉様の喉の調子が芳しくないと文を受け取ったのですが、父はどうしても外せぬ用があるそうなので。父に代わり私が代理に診察に馳せ参じた次第でございます」

しかも書いた文にそぐわぬ内容だったが、小十郎は思わず喉で咳き込み短くああ、と返事をした。
違うと言えばは今来た道を帰るだろう。
小十郎は殆ど無意識に、計算高くを引き止めていた。
館にを上げると、は早速寝所にと小十郎へ声をかける。
まだ日も高く、あまりに唐突で小十郎は思わず返事もできずにむせて酷く咳き込んでしまった・

「ほら!片倉様まだ本調子ではないのでしょう?無理をなさらず横になってください!」
「そういういことか・・・」
「はい?」

こてんと首を傾げながらは小十郎の背を押して寝所へと向かわせた。

「伺わせていただきます」

そうして布団のなかに座らされ、の細い指が小十郎の首筋に触れ触診を始めた。
子供のような、柔らかく暖かい指先は心地いい。
吐く息と共に震える喉。触れる指の腹に灯る小さな熱。
は凛とした真面目な表情でお口を、と指示して両手を顎に添え、開いた喉の奥を覗く。
喰っちまいてぇな、と首をもたげる欲望に、小十郎は静かに瞑目した。

「腫れも引いておりますし、炎症の様子も無さそうですが大事をとって数回分薬を処方しておきますので喉が痛みましたら飲んでくださいね」
「またあの薬か・・・」

暗澹と呟けばはくすくすとその小さな肩を振るわせ笑う。
医師をさせれば鋭いその表情も、今は綻ぶ花のように柔らかだった。
くるくると表情を変えるから目が離せない。

「子供みたいな片倉様。しかし今日は皆様て払っていらっしゃいますようで?」
「あ、ああ。畑の肥料を頼んだから明日までは帰らねぇ」
「まぁ、病人を置いてですか?」
「病気ってほどじゃねぇよ」
「ですがもし賊でも踏み入っては」
「俺が負けるって?」
「いえ、片倉様を相手にする賊が憐れかと」

そんな他愛のない会話に胸がくすぐったい。
久方振りに会ってしまえば自制は思ったより難しかった。
薬香に紛れる甘い香りは香ではない。そのものの肌の香り。
二人分の熱でほんのり暖まる空気。
そして体よく敷かれた布団。我慢の限界は、あっけなくやってきた。
小十郎はにいやりと笑い、の手首を捕まえ布団の上に引きずり倒した。
先程の会話の続きと思ってか、はわざとらしいような悲鳴を上げて小十郎の布団に転がる。

「ああ、ほら簡単に捕まってしまいましたね」
「そうだな。こうしちまえばもう逃げられねえ」

そうして両腕を片手で纏める。
細く簡単に手折れてしまいそうなの腕に、どうしようもなく興奮した。

「片倉様?」

不穏を察したか、の声が不安気に揺れる。

「なんだ?抵抗してみるか?」

低い声音に瞳の奥は笑っていない。
はほんのりと恐怖に身をよじり、拘束から逃れようとしたが刀を握る男の握力には敵うはずもなかった。

「御冗談を、」
「冗談で女を抱くほど餓えちゃいない」
「片倉様っ…!」

かっと赤らむ頬に、ああ未開通かと言う朗報を察する。
乱暴に襟元を乱せば、の絹を裂くような悲鳴が高らかに響いた。

「いやっ!!片倉様!なにをっ!」
「なにを?わからねぇはず、ないだろう?」

くつりと喉の奥で笑い声を零し、小十郎はまるで獲物を狩る獣のような瞳でを見据えた。
初めて見る小十郎のその様には息を飲み、線の細い体を恐怖に震わせる。
すっかり怯えて言葉も出なくなったに、小十郎の熱は萎えることなく硬さを増す。酷いものだと苦笑しながら、小十郎は反り返るの喉を唇でなぞった。
もう片方の手で包み込むの胸は、柔らかく、そして張りがある。みずみずしい果実を思わせる美しい形。手のひらに吸い付く若い肌に、小十郎は遠慮もなくの胸を揉みしだいた。

「あっ、あぁ・・・!」

まだ嬌声には届かない細い悲鳴。そのまま耳元まで唇を這わせ、唾液を絡めて舌で耳の穴を舐る。
耳元に響く淫猥な音と、胸の飾りを抓まれる未知の痺れにはわけもわからず身をよじった。

「やめてっ、やめて下さい・・・片倉様っ、どうか。どうか、お許しを・・・っ」

には一切の罪はない。それなのに許しを請う姿はひどく嗜虐心を煽った。
小十郎は無言のままの着物の帯を解く。緩んだそれを力任せに剥ぎ取れば、は悲鳴を上げて涙を溢れさせた。

「片倉様ぁ・・・!もう、どうか、お許しをっ、こんな、お戯れを・・・!後生ですっ、どうか・・・」

涙で張り付く髪を払ってやりながら、小十郎はできる限り優しく微笑んでやる。さりとて、ここまで来てしまえば不安を拭ってやれるはずもない。

「生憎、戯れで好いた女を泣かせるほど餓鬼じゃあねぇよ」

そう小さく囁き返し、体で股を無理やり開かせの秘所に指先を宛がった。

「ひっ!?」

入口に触れた小十郎の指にの体が恐怖に跳ねる。混乱と、それとこれから起こる事態に身を固くしている。
だがしかし、そこはしっとりと濡れていた。処女とはいえ、本能に刻まれる快楽は確かに存在するらしい。

「あっ・・・!?いやっ、いやぁ・・・!」

子供のように頭を振るを宥めるように、小十郎は入口の柔らかい場所を何度も刺激していく。
ぬるぬると滑る愛液の手伝いもあって、小十郎の指はゆっくりとの中へと侵入を果たした。

「やっ・・・!!あ・・・!あ・・・!」

きつい。
それは正真正銘の処女の膣だった。小十郎の口角は我知らず吊り上る。
痛みはどうしようもないがが、出来るだけゆっくりと何度も指を抜き差しする。しかしさすがに怯えていてはこれ以上は濡れなさそうだ。
顔を背け、きつく口元を引き結び、布団に横顔を押し付けるに小十郎の熱は高まる一方であった。

、少し体勢を変えるぞ」
「っえ、・・・?」

指を引き抜き手首を放してやる。だらりと投げ出されたままの無気力なの白い腕は、酷く扇情的で小十郎は沸き立つ熱を持て余す。
そのままのひざを折り曲げ大きく開脚させると、羞恥の悲鳴と共にが足を閉じようとする。しかしそれより早く膝の裏を抑えつけ、小十郎はの動きを封じた。

「いやぁ・・・!!」

拘束を解いたせいでせっかくの表情が隠されてしまった。
これは惜しいことをしたと思いつつも、小十郎はすっかり露わになったの秘所に心を奪われる。
若い茂みがぬらりと光る。誘うような雌の香りに、小十郎は躊躇うことなく舌を這わせた。

「いやぁ!!片倉様っ!!やめてっ、やだ・・・!汚い、ですっ・・・からぁ・・・!!」

舌先で味わい、小さな果実を甘く食む。初めて感じる強烈な刺激には悲鳴を上げて弓なりに背を震わせる。やめて、いや、と繰り返し、泣きじゃくるその姿。そんな願いを聞き入れてやれる男がこの世に存在するだろうか。
小十郎は体を震わせて涙を流すにたまらない支配欲を満たしつつ、じゅるじゅると音を立てて愛撫を繰り返す。
は言葉にならない悲鳴を上げながら、必死に身をよじり逃げようとしている。
だが、その抵抗もすでに弱い。悲鳴は甘ったるい嬌声に変わっていた。

「いやっ・・・!あ、あっ・・・!いやっ・・・いやぁ・・・ん・・・!!」

赤く腫れたような可愛い粒を指先で弄り、膣へと指を一本入れて中を探る。
先ほどより随分濡れた。内側の肉壁を撫でながら、小十郎はもう一本ゆっくりと挿入した。

「あ・・・くぅ・・・ふ・・・あ、ぁ・・・!」

少し痛むようだが大事はなさそうだ。
小十郎は熱く指全体を締め付けるにこれ以上我慢が出来そうにない。
二本の指でゆっくりとの膣を慣らしつつ、空いた片手で起用に袴の帯を解いていく。下帯から取り出した一物は、これ以上ないほど固くそそり立っていた。

、挿入れるぞ」
「あ・・・あっ・・・」

返事ではなかった。だが返事を聞く余裕もなかった。
小十郎が指を引き抜くと、ねっとりとした愛液が伝って零れる。それを目の当たりにしたは、あああ、とまるで絶望したかのような声音で両手で顔を覆ってしまった。
一体何を恥ずかしがることがあるのだろう。
男も女も一皮剥けばみな同じ獣だ。
小十郎はしっとりと濡れた指先を舐め、の味を楽しんだ。甘い蜜だ。そうして今から小十郎がの処女を切る。
これでは小十郎のものだ。
いっぱいまで足を押し開き、しとどに濡れたの入口に猛り立つ杭を宛がう。
指とは比べ物にならない熱と物質量にの腰が無自覚に逃げる。
だがここまで来て小十郎が逃がすはずもなく、その力強い手で簡単にの腰を捕まえた。

「あ・・・!あっ!ああ・・・!!いっ・・・!いたっ、う・・・ふっ・・!!」
「悪い、ちぃと耐えてくれ」
「いたいっ・・・いたいですっ・・・かたくら、さまっ・・・ぁ」

人より大きいと自負している一物だ。小柄で処女のには荷が重かろう。
痛みに涙を流すの目尻を拭ってやり、珠の汗が浮かぶ額に唇を落とす。

っ・・・」

まるでこちらを喰い千切らんとする締め付けに、小十郎の眉間に皺が寄る。
しかしそれもまた小十郎を絶頂へと誘う一つだ。包み込む熱も相まって、男にとっては極楽浄土。
小十郎は痛みに喘ぐに考慮しつつ、ゆっくりゆっくりと腰を押し進めた。

「あぁ!!うっ・・・ふ・・・ぅん・・・!!」

とうとう根元まですっかり挿入してしまえば、これ以上ない満足感が小十郎の胸に到来した。
の内股を伝い、その布団を赤く染める処女の血だ。
ああ、俺のものだ。小十郎は噛みしめるようにそう呟いていた。

「・・・っ、動くぞ」
「だ、め・・・かた、く、ら・・・さま・・・ぁ・・・!」

やはりの静止など聞いてやれず、小十郎は極力緩やかに杭を動かす。
退いて、刺して、退いて、刺して。
繰り返すうちに初めは痛い痛いと泣いていたの泣き声も、すっかり鼻にかかった甘い声に変わっている。
何も知らなかった女が、自分の下でこうも色付き喘ぎ声を上げる姿。
それはなんという絶景だろう。得難く美しい、欲望の泉を満たす。そして組み敷くものが好いた女だという事も一入だろう。
指先で涙の痕をなぞる。
柔らかい肌に、口端が吊り上った。
薄く開かれたの瞳は涙が滲み、ぷくりと膨らむ唇は細い吐息で「片倉様」と呟いていた。

「悪いな、最後まで付き合ってくれ」
「うぁ・・・あ!・・・ああっ・・・!!」

腰を浮かせ、覆いかぶさるように熱を打ち付ける。
別角度からの責苦に、の体は敏感に、そして淫乱に跳ねた。

「お前が欲しかった。。ずっとだ」
「あぁっ・・・あ!あっ・・・ぅ、あ!あっ・・・!!」
「わかるか?俺のここが、こうしてお前を求めていた」
「ふっ・・・あ!・・・くっ・・・あ、ああっ・・・!」

だんだんと律動は早まる。限界は近い。
は小十郎の声に応えることも出来ず、頼りない布団の浜辺で溺れるばかり。
汗で張り付く髪を、米神あたりから後ろに流す。色浮いた肌は綺麗な薄桃色に染まっていて、口付ればどこもかしこも甘く小十郎を狂わせる。
細い顎を捉え、小振りの桜色の唇から覗く舌の赤さ。小十郎は噛みつくようにの唇を奪った。
柔く食み、呼吸を奪う。舌で舐り、絡める。
ぴちゃりと淫猥な音を立てて、より一層深くを堕とす。

「かっ・・・た・・・くら・・・さ、まぁ・・・!」

律動に合わせて短く途切れる呼吸と一緒に零れる声は、もう初めの悲愴な悲鳴の面影はない。

「中に出すぞっ・・・」
「あ・・・っあ・・・・あっ!あぁあ・・・!!」

最奥に欲望を打ち立て、ありったけの熱を解き放つ。
快感の余韻に腰が震る。
浅い呼吸を繰り返し、放心しているにそっと唇を重ねた。
触れるだけの、柔らかな口付を。

「お前が好きだ。

答えが返らぬまま自身を引き抜く。
鮮血の赤に混じる白濁があふれ出る光景に、小十郎はどうしようもなく興奮してしまうのだった。
これで、俺のものだと。


***


ほとんど気を失うように眠りに落ちたの身を清めてやりながら、小十郎はどうしたものかと頭を抱えた。
手紙を宛てたのはの父親へだった。
大事な一人娘との縁談を許可してほしいと。事は穏やかに運ぶつもりが、まさか盛りの付いた犬のように襲ってしまうとは。
十五そこらの餓鬼じゃああるまいし。だが過ぎてしまったことはどうしようもない。
腹はまだ切るわけにはいかない。然し括るしかない。
望み薄となった願いをどうやって挽回しようかと策を練る最中、ふと布団の中の膨らみが身を捩った。

、起きたか?」
「かた・・・くら・・・さま・・・」

うすぼんやりと開かれた瞳はもう濡れてはいない。まだ少し微睡んでいる幼さを残す表情が、思いのほか小十郎の良心に針を刺す。

「あー・・・その、悪かった」

開口一番、するりと出た言葉はそれだった。
はゆっくりと覚醒した意識で体を起こし、痛む身体に表情を歪める。支えるように肩に腕を添えれば、はきれいに整えられた寝間着の自分を見下ろし唐突に涙を零した。

っ!すまん・・・」
「いいえ。片倉様は、悪くないんですっ・・・」

十人いれば十人が小十郎が悪いというようなこの状況で、はそう言ってのける。
どういうことだと息を詰まらせた小十郎に、は顔を覆ってさめざめと肩を震わせて泣いていた。

「私、私・・・本当はちっとも嫌じゃなかったんです。本当は嬉しかったんです。片倉様に求められて・・・心の底から・・・嬉しかった。でも、私は相応しくないから・・・片倉様に釣り合えないから・・・。きっと一度のお情けじゃ我慢できなくなってしまいます。もっと片倉様と一緒にいたいと思ってしまう・・・!」

その衝撃はまさに、雷に打たれると表現するのが正しいだろう。
なんて、なんて馬鹿なことを!
小十郎は再三は言っただろう。
思いを言葉にしただろう。
それは、に届いていなかったというのだろうか。
複雑に絡み合った悔しさとほのかな怒りが、腹の底で小さく発火する。



声音は、思ったよりもずっと低かった。
少女の細い手首をつかみ、無理やり泣き顔を拝む。
驚きに丸く見開かれた瞳。まだ瞬く隙も与えず、小十郎はの唇を貪った。

「かっ・・・ふ、ぁ・・・!」

何度も絡めた舌。離れてしまえばいやらしい銀の糸が伝う。
上気した頬に涙を浮かべる瞳。征服欲は満たされる。

「何度だって言ってやる。俺はお前が欲しい。。相応しくないだとか、釣り合わないだとか。そんなことは知ったことじゃねえ。俺の言葉は戯れでもなんでもない。。悪いが俺は、お前を手放してやる気はない」

の父親が、手紙の内容を知りながらそれを伏せてを寄越した時点である程度の了解はあったとみていいだろう。
それに、処女を切ってやった。犯してやった。
傷物の娘だ。責任が取れる。
どんな乱暴な手段をとっても構わない。
小十郎は、なんとしてもを手に入れると壮絶に笑った。

「片倉様・・・」
「いずれ、妻にする。それまでに、名前で呼べるようになっておけ」

情けなどではない。
そう頬に手を添える。
は雪が解けるような蕩ける笑みで、こじゅうろうさま。と可愛らしく喉を鳴らしたのだった。

ああ、俺のものだ。




続・もういちどいきかえる