【政宗】

と一緒にいるのは苦ではなかった。
は他の女のように煩く根掘り葉掘り俺のことを聞きたがらなかったし、あれこれと無駄な話をしなかった。
時おり他愛のない世間話を交わす程度。
番号もアドレスも知りながらこれといって親密とは言えない俺たちだったが、おれはとのその距離感が嫌いではなかった。
近すぎず離れすぎない。腕を伸ばすせば届かないこともない。触れてはいけない境界線をどこかで理解していたの言葉はいつも優しい。
あの笑顔で、はいつも俺に笑いかけてくれる。
それがだんだんとこそばゆくなって、気恥ずかしくなっていた。
俺は、どうやらに惚れているらしい。
胸に広がる暖かな熱は、存外嫌なものでもなく俺はひとり笑ってしまった。

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