広い部屋に高い音程の鼻唄が響く。不思議な曲調の歌は途切れることなく高く低く。
政宗は夢見心地でそれに耳を傾けながら、そっと襖を開いて畳の上に寝転がる声の主へと声をかけた。
「、帰ったぞ」
「政宗!」
ぱ!と振り返った少女の笑顔は、春に咲き誇る花を思わす満面さ。
とどまらぬ愛らしさに相好を崩せば、はおかえりなさい!と高らかに政宗の胸に飛び付いた。
「いい子にしてたか?」
「うん!ちゃんといい子にしてたよ!えらい?」
「Good,今日は何してた?」
「絵をかいてたの。これ政宗!」
ひらりと差し出された半紙の中には、刀を構えているのだろうか、袴姿の人物が描かれていた。
「こないだの稽古着か。上手いもんだな」
「ほめて!」
「えらいえらい」
言葉と共に頭を撫でてやれば、は猫のように目を細めてさらにぎゅうと擦りよってきた。
の髪は奥州では珍しい銀の色をしていた。
西の鬼より眩しく、東の死神よりも淡い。
えも言われぬ美しい髪は、政宗が丹精込めて手入れをしているのでまるで絹のようすべらかで柔らかい。
肌は甘い象牙色できめ細かく、頬は赤薔薇のように染まっている。
異国の血を引くは、それは将来有望な美を兼ね備え、今も政宗の寵愛を欲しいままに受けていた。
「ほかにもねー犬とか、猫とかかいたの!じょうず?」
「ああ、は絵師の才能があるのかもしれねぇな」
半紙の上に散らばる正体不明の墨の塊は動物らしい。
前衛的な感覚だと内心笑いながら、政宗はを抱き締めたまま畳の上に寝転がった。
「政宗つかれてる?」
「あーちょっとな」
「ぎゅっ!元気になれー!」
まるで童子のようなの行動。
それは酷く幼く、愛らしい。
政宗もを抱き返す腕に力を込めて、その柔らかな頬や頼りない喉に口付けた。
「政宗くすぐったいー!」
「我慢しろ我慢」
きゃっきゃと響くの高い笑い声が締め切った部屋に降り注いで満ちる。
政宗は子供特有の甘い香りを放つの首筋に顔を埋めながら、大きく深呼吸を繰り返して肩に募る疲れを解した。
「お仕事たいへんだね」
「今日なんて特に面倒な甲斐の馬鹿との和議でよー。猿は鬱陶しいし犬は鬱陶しいし」
「ももたろ?」
「あ?」
「いぬとさるときじ!」
「雉は居なかったなぁ・・・」
雉といえば軍神の剣あたりだろうか。
ぼんやり考えながらそう言えば、は残念そうに目を伏せる。
よしよし、と声をかけながら頬に口付ければ、はまたくすぐったいと笑いながら身を捩った。
「第一あいつ犬だけど鬼だからな」
「鬼?さいかいのやつ?」
「no、紅蓮の方だ」
「ぐれん」
瞬間、が小さく身を震わせる。政宗は気付かないふりをしながらの髪を撫でた。
「明日もいるから会ってみるか?鎧も着物も具足も槍も、みんな赤い赤い真っ赤な紅蓮の赤鬼だ」
「・・・うっ、や!やぁ、やー!」
突如火がついたように泣き出すは、寝転んだままの政宗の胸に飛び込みがくがくと震えながらその着物の襟を掴み掛かって体を丸める。
どうした?と態とらしく声をかければ、はぶるぶると震えたままくぐもった声で悲鳴じみた声をあげた。
「やだやだやだ!あかおにこわいっ、いや、こわいよぉ!あ、あか、きらい、いや、いや、いやだよっ、まさむね、こわい、こわいぃ・・・!!」
「、、大丈夫だぜ?ここに赤鬼は居ない」
「まさむねこわい、こわい、あかやだ、きらい!」
癇癪を起こす子供の頭を撫でながら、政宗はが泣き止むまでずっとそうしていてやる。
「、大丈夫だ。俺は怖くないだろう?ほら、俺を見ろ」
「まさむねっ、まさむねぇ・・・」
ぐずぐずと泣きじゃくるを畳の上へと寝かし、何度も頭を撫でてやる。
新緑の畳の地に広がったの鮮やかな銀の髪は、差し込む日の光を受けて儚く輝いていた。
は酷く赤に怯える子供だった。
野苺も石榴も桜ん坊も、見るだけで泣きわめくし、赤染めの着物なんてものを見た日には悲鳴を上げて卒倒する。
原因は判りきっていた。
は惨殺された両親の死体を見ている。
未練に満ちた両親の苦悶の表情と、暖かい記憶が満ちる家全体に飛び散った真っ赤な血。両親のそれ、床を汚していた赤黒い臓物。
は酷く赤に怯える子供になった。
漸く落ち着き始めた。優しく顎を捉えて視線を交えれば、やっと政宗を認識したは「まさむねぇ」と涙に濡れた声で政宗に救いを求めた。
甘い声が欲するままに、政宗は大丈夫だ。と低く囁きながら接吻の雨を降らす。
髪に、額に、頬に、首筋に。
そして緩くはだけた頼りない鎖骨へ。ほう、と安心した様子での呼吸は穏やかになる。
政宗が贈った鮮やかな蒼地の着物のと金糸が彩る白い帯。
手慣れた様子で解いてやれば、圧迫を失った小さな胸が、安堵するかのように大きく息を付いた。
発展途上の谷間にも口付け、肌に添って臍まで唇を滑らせる。
涙が止んだは、ふ、と鼻にかかった吐息で恥ずかしそうに身を捩った。
「ん、まさむねぇ・・・」
「ちゃんと気持ちよくしてやるよ」
羞じらうに笑ってやれば、頬に咲く薔薇が一層色づく。
甘く香り立つ肌を啄みながら、無駄の無い滑らかな肢体を吟味した。
花弁は厭らしく濡れている。
意地悪く足の付け根をねぶってやれば、もどかしい快感にの秘所がひくりと疼いていた。
「やぁ、ん、まさ、むね・・・そこ、ちがぅ」
「、ちゃんと教えただろ?」
「ん・・・、政宗の舌で、のいやらしいところを舐めてくださいっ」
「いい子だ」
ふたりしかいないというのに毎度恥じらうの表情は堪らない。
耳まで赤く染める、いつまでも生娘の様な態度は濡れる体と相反していて余計に欲を煽った。
少女の体から放たれる女の蜜の香り。
舌先で掬うように秘所をいたぶれば、の体は気持ちがいいと快感に震えた。
「まさむねっ、まさむねぇ・・・!」
応えるように舌を突き進めれば、上がる嬌声は下半身に響く。
下腹部に溜まる熱に政宗は自身に苦笑を洩らした。
こんな十六程の小娘の声ひとつで自身は獣に成り下がる。
奥州筆頭も形無しだ。
だがそれもいいものだ。
あらゆるすべてから解放され、ここには政宗としかいない。
小十郎さえ入室を許さない奥は、政宗とだけの空間だ。
ふたりを責めるものはない。
ここでは政宗は奥州筆頭などではない。ただの男、それ以下だ。
茂みまでしとどに濡らすの秘所は、もう愛撫が必要ないくらいに蕩けている。
政宗によって作り変えられたの体は、酷く淫乱で精に貪欲だった。
しかしそれも悪くない。
自分の手によって変わるの体も、色付く声音も。この先一生政宗のものなのだ。
政宗だけの目に触れ、政宗だけに愛される。
はまるで生きる人形のように、政宗だけの為に官能を歌い、政宗だけの為に快感に腰を揺らすのだ。
「はっ、ん・・・ま、さ、むねぇ・・・あ!も、やっ!はやく、ちょうだいっ・・・」
もどかしい快感に耐える。
膣は物欲しげにきゅう、と締まっていた。
指で解していないのだが、十二分に濡れたそこなら受け入れられるだろう。
可愛らしい姫の願いだ。
政宗は了承の意味を込めて、汗で銀の髪を張り付ける額に口付けた。
「挿れるぞ」
「きてぇ、まさむねっ・・・」
とろりと滲む瞳は熱に浮かされ艶やかに誘う。
糸一本にまで削られた理性の限界は近い。
の花弁の中心にへと杭を打ちたて、暖かい熱を共有しながらゆっくりと肉を割る。
愛撫が十分でない分、ひたすらゆっくりと肉棒を進めれば、待ちわびた感触にの腰が浮いた。
「ふ、ぁ、あ、まさ、むね、まさむねぇ・・・」
「ほら、全部入ったぞ」
余すことなくその身をの鞘に納めれば、隙間なく満たされる感覚にはああ、と言葉にならない呼吸を溢す。
自身を包み込むの甘やかな熱に微睡みながら、政宗はゆったりと腰を揺らした。
そうすればすぐに律動に合わせての腰が揺れる。
貪欲なまでの快感への執着。
政宗は喉の奥で笑いながら何度もの最奥を貫いた。
「気持ちいいか?。お前奥好きだもんな」
「あんっ、きもちいぃ!おくっ、きもちいいよぅ・・・!」
初めの羞恥が成りを潜めれば、次に顔を出す快感を知る獣。
硬い畳の地面に投げ出されたの体は、快楽の海に溺れて淫らに揺れる。
細い腕が伸ばされ、政宗は宙での掌を捕まえて口付けた。
ちゅ、と甘い音を響かせれば、の目尻が甘く綻ぶ。
まさむね、と耳に届く濡れた声。
誘われるまま身を寄せて、の腕を首に絡ませた。
細くしなやかな足をもたげ、露になった秘所にさらに深く杭を打ち込む。
より一層奥地への侵入を果たす政宗を、きつく抱き返してくるが愛しい。
ぐちゃぐちゃと響く淫猥なふたりの水音。視覚も聴覚も犯される。
発火する熱に覆われながら、は譫言の様に政宗の名を繰り返した。
「んぁ!まさむねっ、まさ、むねぇ!だめっ、おくっ、きちゃう!きちゃうのっ・・・!」
「駄目じゃねぇだろ。ほら、いけよ」
「あっ!だめっ、おく、お、くっ!ひっ、んぁ・・・!」
瞬間、膣がきつく締まり痙攣を繰り返す。小刻みに戦慄く体は絶頂を知らせ、息も絶え絶えに震えるの姿は酷く淫らだった。
「イったな」
にやりと笑ってやれば、絶頂の余韻に浸るからの返答はない。
これはいけない。
自分がまだ達してはいないのに満足されては困る。
政宗は微睡むの意識を呼び戻すように、勢いをつけて再び最奥を貫いた。
「ひっ!?ん、ぁ!あっ・・!」
「満足するにはまだ早いぜ?」
焦らすことはなく政宗は絶頂に向かって一心に腰を降る。
達したばかりのの体は敏感になっており、突き上げてくる政宗の乱暴さの中にも快感を汲み取りあられもなく喘ぎ声を上げた。
それにつられるように政宗の呼吸も乱れていく。
体を溶かされそうな熱も、脳を揺らす嬌声も、伝う汗も涙も吐息さえもが政宗を乱して貶める。
甘い薬物のように政宗を壊すのすべて。
政宗はたまらないとばかりにの薄い肌に口付け、頼りない鎖骨や喉に赤い花を散らした。
「まさっ、む、だめっ、あ、しんじゃ、んぁ、しんじゃうよっ、へん、おかしく、なるっ!」
「構わねぇよ。狂っちまえ」
「まさむねっ、まさむねっ、だめっ、だっ、ぁ、あぁっ!」
震えるの膣に連れられて政宗自身限界を感じる。
果てに向けて研ぎ澄まされる感覚が、乱暴なまでにの内部で暴れた。
断末魔に近いの絶頂の声が響き、政宗もついには達して白濁の精をの中に注ぎ込む。
熱すぎる熱に内部を焼かれ、は大きく背を弓なりにして体を戦慄かせた。
次にの体は糸が切れた人形の様にくたりと力を失くす。
ふたり分の獣じみた荒い呼吸ばかりが部屋に響く中、政宗は心地よい余韻に浸りながらから自身を抜いた。
程よい疲労感と解放感。
ふたりは身支度も整えず、汗や何やらにに身を汚したままに緩やかに瞼を閉ざすのだった。
政宗は夢見心地でそれに耳を傾けながら、そっと襖を開いて畳の上に寝転がる声の主へと声をかけた。
「、帰ったぞ」
「政宗!」
ぱ!と振り返った少女の笑顔は、春に咲き誇る花を思わす満面さ。
とどまらぬ愛らしさに相好を崩せば、はおかえりなさい!と高らかに政宗の胸に飛び付いた。
「いい子にしてたか?」
「うん!ちゃんといい子にしてたよ!えらい?」
「Good,今日は何してた?」
「絵をかいてたの。これ政宗!」
ひらりと差し出された半紙の中には、刀を構えているのだろうか、袴姿の人物が描かれていた。
「こないだの稽古着か。上手いもんだな」
「ほめて!」
「えらいえらい」
言葉と共に頭を撫でてやれば、は猫のように目を細めてさらにぎゅうと擦りよってきた。
の髪は奥州では珍しい銀の色をしていた。
西の鬼より眩しく、東の死神よりも淡い。
えも言われぬ美しい髪は、政宗が丹精込めて手入れをしているのでまるで絹のようすべらかで柔らかい。
肌は甘い象牙色できめ細かく、頬は赤薔薇のように染まっている。
異国の血を引くは、それは将来有望な美を兼ね備え、今も政宗の寵愛を欲しいままに受けていた。
「ほかにもねー犬とか、猫とかかいたの!じょうず?」
「ああ、は絵師の才能があるのかもしれねぇな」
半紙の上に散らばる正体不明の墨の塊は動物らしい。
前衛的な感覚だと内心笑いながら、政宗はを抱き締めたまま畳の上に寝転がった。
「政宗つかれてる?」
「あーちょっとな」
「ぎゅっ!元気になれー!」
まるで童子のようなの行動。
それは酷く幼く、愛らしい。
政宗もを抱き返す腕に力を込めて、その柔らかな頬や頼りない喉に口付けた。
「政宗くすぐったいー!」
「我慢しろ我慢」
きゃっきゃと響くの高い笑い声が締め切った部屋に降り注いで満ちる。
政宗は子供特有の甘い香りを放つの首筋に顔を埋めながら、大きく深呼吸を繰り返して肩に募る疲れを解した。
「お仕事たいへんだね」
「今日なんて特に面倒な甲斐の馬鹿との和議でよー。猿は鬱陶しいし犬は鬱陶しいし」
「ももたろ?」
「あ?」
「いぬとさるときじ!」
「雉は居なかったなぁ・・・」
雉といえば軍神の剣あたりだろうか。
ぼんやり考えながらそう言えば、は残念そうに目を伏せる。
よしよし、と声をかけながら頬に口付ければ、はまたくすぐったいと笑いながら身を捩った。
「第一あいつ犬だけど鬼だからな」
「鬼?さいかいのやつ?」
「no、紅蓮の方だ」
「ぐれん」
瞬間、が小さく身を震わせる。政宗は気付かないふりをしながらの髪を撫でた。
「明日もいるから会ってみるか?鎧も着物も具足も槍も、みんな赤い赤い真っ赤な紅蓮の赤鬼だ」
「・・・うっ、や!やぁ、やー!」
突如火がついたように泣き出すは、寝転んだままの政宗の胸に飛び込みがくがくと震えながらその着物の襟を掴み掛かって体を丸める。
どうした?と態とらしく声をかければ、はぶるぶると震えたままくぐもった声で悲鳴じみた声をあげた。
「やだやだやだ!あかおにこわいっ、いや、こわいよぉ!あ、あか、きらい、いや、いや、いやだよっ、まさむね、こわい、こわいぃ・・・!!」
「、、大丈夫だぜ?ここに赤鬼は居ない」
「まさむねこわい、こわい、あかやだ、きらい!」
癇癪を起こす子供の頭を撫でながら、政宗はが泣き止むまでずっとそうしていてやる。
「、大丈夫だ。俺は怖くないだろう?ほら、俺を見ろ」
「まさむねっ、まさむねぇ・・・」
ぐずぐずと泣きじゃくるを畳の上へと寝かし、何度も頭を撫でてやる。
新緑の畳の地に広がったの鮮やかな銀の髪は、差し込む日の光を受けて儚く輝いていた。
は酷く赤に怯える子供だった。
野苺も石榴も桜ん坊も、見るだけで泣きわめくし、赤染めの着物なんてものを見た日には悲鳴を上げて卒倒する。
原因は判りきっていた。
は惨殺された両親の死体を見ている。
未練に満ちた両親の苦悶の表情と、暖かい記憶が満ちる家全体に飛び散った真っ赤な血。両親のそれ、床を汚していた赤黒い臓物。
は酷く赤に怯える子供になった。
漸く落ち着き始めた。優しく顎を捉えて視線を交えれば、やっと政宗を認識したは「まさむねぇ」と涙に濡れた声で政宗に救いを求めた。
甘い声が欲するままに、政宗は大丈夫だ。と低く囁きながら接吻の雨を降らす。
髪に、額に、頬に、首筋に。
そして緩くはだけた頼りない鎖骨へ。ほう、と安心した様子での呼吸は穏やかになる。
政宗が贈った鮮やかな蒼地の着物のと金糸が彩る白い帯。
手慣れた様子で解いてやれば、圧迫を失った小さな胸が、安堵するかのように大きく息を付いた。
発展途上の谷間にも口付け、肌に添って臍まで唇を滑らせる。
涙が止んだは、ふ、と鼻にかかった吐息で恥ずかしそうに身を捩った。
「ん、まさむねぇ・・・」
「ちゃんと気持ちよくしてやるよ」
羞じらうに笑ってやれば、頬に咲く薔薇が一層色づく。
甘く香り立つ肌を啄みながら、無駄の無い滑らかな肢体を吟味した。
花弁は厭らしく濡れている。
意地悪く足の付け根をねぶってやれば、もどかしい快感にの秘所がひくりと疼いていた。
「やぁ、ん、まさ、むね・・・そこ、ちがぅ」
「、ちゃんと教えただろ?」
「ん・・・、政宗の舌で、のいやらしいところを舐めてくださいっ」
「いい子だ」
ふたりしかいないというのに毎度恥じらうの表情は堪らない。
耳まで赤く染める、いつまでも生娘の様な態度は濡れる体と相反していて余計に欲を煽った。
少女の体から放たれる女の蜜の香り。
舌先で掬うように秘所をいたぶれば、の体は気持ちがいいと快感に震えた。
「まさむねっ、まさむねぇ・・・!」
応えるように舌を突き進めれば、上がる嬌声は下半身に響く。
下腹部に溜まる熱に政宗は自身に苦笑を洩らした。
こんな十六程の小娘の声ひとつで自身は獣に成り下がる。
奥州筆頭も形無しだ。
だがそれもいいものだ。
あらゆるすべてから解放され、ここには政宗としかいない。
小十郎さえ入室を許さない奥は、政宗とだけの空間だ。
ふたりを責めるものはない。
ここでは政宗は奥州筆頭などではない。ただの男、それ以下だ。
茂みまでしとどに濡らすの秘所は、もう愛撫が必要ないくらいに蕩けている。
政宗によって作り変えられたの体は、酷く淫乱で精に貪欲だった。
しかしそれも悪くない。
自分の手によって変わるの体も、色付く声音も。この先一生政宗のものなのだ。
政宗だけの目に触れ、政宗だけに愛される。
はまるで生きる人形のように、政宗だけの為に官能を歌い、政宗だけの為に快感に腰を揺らすのだ。
「はっ、ん・・・ま、さ、むねぇ・・・あ!も、やっ!はやく、ちょうだいっ・・・」
もどかしい快感に耐える。
膣は物欲しげにきゅう、と締まっていた。
指で解していないのだが、十二分に濡れたそこなら受け入れられるだろう。
可愛らしい姫の願いだ。
政宗は了承の意味を込めて、汗で銀の髪を張り付ける額に口付けた。
「挿れるぞ」
「きてぇ、まさむねっ・・・」
とろりと滲む瞳は熱に浮かされ艶やかに誘う。
糸一本にまで削られた理性の限界は近い。
の花弁の中心にへと杭を打ちたて、暖かい熱を共有しながらゆっくりと肉を割る。
愛撫が十分でない分、ひたすらゆっくりと肉棒を進めれば、待ちわびた感触にの腰が浮いた。
「ふ、ぁ、あ、まさ、むね、まさむねぇ・・・」
「ほら、全部入ったぞ」
余すことなくその身をの鞘に納めれば、隙間なく満たされる感覚にはああ、と言葉にならない呼吸を溢す。
自身を包み込むの甘やかな熱に微睡みながら、政宗はゆったりと腰を揺らした。
そうすればすぐに律動に合わせての腰が揺れる。
貪欲なまでの快感への執着。
政宗は喉の奥で笑いながら何度もの最奥を貫いた。
「気持ちいいか?。お前奥好きだもんな」
「あんっ、きもちいぃ!おくっ、きもちいいよぅ・・・!」
初めの羞恥が成りを潜めれば、次に顔を出す快感を知る獣。
硬い畳の地面に投げ出されたの体は、快楽の海に溺れて淫らに揺れる。
細い腕が伸ばされ、政宗は宙での掌を捕まえて口付けた。
ちゅ、と甘い音を響かせれば、の目尻が甘く綻ぶ。
まさむね、と耳に届く濡れた声。
誘われるまま身を寄せて、の腕を首に絡ませた。
細くしなやかな足をもたげ、露になった秘所にさらに深く杭を打ち込む。
より一層奥地への侵入を果たす政宗を、きつく抱き返してくるが愛しい。
ぐちゃぐちゃと響く淫猥なふたりの水音。視覚も聴覚も犯される。
発火する熱に覆われながら、は譫言の様に政宗の名を繰り返した。
「んぁ!まさむねっ、まさ、むねぇ!だめっ、おくっ、きちゃう!きちゃうのっ・・・!」
「駄目じゃねぇだろ。ほら、いけよ」
「あっ!だめっ、おく、お、くっ!ひっ、んぁ・・・!」
瞬間、膣がきつく締まり痙攣を繰り返す。小刻みに戦慄く体は絶頂を知らせ、息も絶え絶えに震えるの姿は酷く淫らだった。
「イったな」
にやりと笑ってやれば、絶頂の余韻に浸るからの返答はない。
これはいけない。
自分がまだ達してはいないのに満足されては困る。
政宗は微睡むの意識を呼び戻すように、勢いをつけて再び最奥を貫いた。
「ひっ!?ん、ぁ!あっ・・!」
「満足するにはまだ早いぜ?」
焦らすことはなく政宗は絶頂に向かって一心に腰を降る。
達したばかりのの体は敏感になっており、突き上げてくる政宗の乱暴さの中にも快感を汲み取りあられもなく喘ぎ声を上げた。
それにつられるように政宗の呼吸も乱れていく。
体を溶かされそうな熱も、脳を揺らす嬌声も、伝う汗も涙も吐息さえもが政宗を乱して貶める。
甘い薬物のように政宗を壊すのすべて。
政宗はたまらないとばかりにの薄い肌に口付け、頼りない鎖骨や喉に赤い花を散らした。
「まさっ、む、だめっ、あ、しんじゃ、んぁ、しんじゃうよっ、へん、おかしく、なるっ!」
「構わねぇよ。狂っちまえ」
「まさむねっ、まさむねっ、だめっ、だっ、ぁ、あぁっ!」
震えるの膣に連れられて政宗自身限界を感じる。
果てに向けて研ぎ澄まされる感覚が、乱暴なまでにの内部で暴れた。
断末魔に近いの絶頂の声が響き、政宗もついには達して白濁の精をの中に注ぎ込む。
熱すぎる熱に内部を焼かれ、は大きく背を弓なりにして体を戦慄かせた。
次にの体は糸が切れた人形の様にくたりと力を失くす。
ふたり分の獣じみた荒い呼吸ばかりが部屋に響く中、政宗は心地よい余韻に浸りながらから自身を抜いた。
程よい疲労感と解放感。
ふたりは身支度も整えず、汗や何やらにに身を汚したままに緩やかに瞼を閉ざすのだった。
麗しく爛れる
月の絶叫
月の絶叫
タイトルクリックで続きます。
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