目覚ましよりも先に目が覚める。
小さい頃からずっとそう。
目覚めは良好、酒もそんなに飲んでないから残ってもいない。
雑魚寝している元親や幸村たちの間をひょいひょい動いて台所に立つ。
今日は休日だけど俺様と元親は仕事だ。
うらやましいねぇ学生はっ!

とりあえず白米と味噌汁で何とかしましょ。

きれいに整理整頓された台所の使いやすさといったら!
最近仕事が忙しくてロクに皿も洗えなかった毎日を打破してくれたのが居候になったちゃんだ。
たまってた洗物と洗濯物がなくなってたときはほんと女神かと思ったんだけどね。

「佐助さん」
「あれ?ちゃんもう起きたの?」

幸村のジャージとシャツを着たちゃんがいつの間にか起き上がっていた。

「なにか、その、お手伝いします」
「えー?いいよべつに?」
「いえいえ、居候なりに恩返しです」

にこ、と笑った顔は化粧っけがなくても十分可愛い。
でもメイクしたらもっと可愛いんだろーな。
おっと、職業病だね。

「んじゃ、お米炊いてもらっていいかな?まだ洗ってもないけど」
「はい」

短く返事してちゃんが俺の隣に立つ。 最近の子家事なんてできるのかな?
政宗はともかく、幸村は一度米を洗剤で洗った前科があるし・・・
ちらりと盗み見れば意外とスムーズに準備に取りかかるちゃん。
しかもちゃんとお湯じゃなくて水使ってるし。
あーほんとこの子家事慣れしてるんだなぁ。

そこまで考えて閃き・・・

ちゃん家事できるの?」
「あ、はい。一応料理とかほとんどやらされてたんで・・・大体は」

複雑な表情に下げられた視線を覆う睫毛(長いね)
モデルとしての素質があるねぇ。

ちゃん」
「はい?」
「今度俺様のモデルになってね?」
「・・・はい?」
「はいじゃあ次は卵焼きね!」
「え?は、はい!」
「すんごく甘くしていいよ。幸村甘いの大好きだから」
「わ、わかりました」

意味がわからずわたわたしてるちゃんの頭を軽く撫でて俺様は味噌汁のなべを軽くかき混ぜた。

男所帯。
降ってわいた妹が可愛くてしょうがないよまったく。