「おう、帰ったぞ野郎どもー」
「元親殿お帰りでござるー!!」

出迎えてくれるのは相変わらず幸村だけだ。俺が家主なのにな!
勢いよくバスン!とタックルしてくる幸村の頭をぐしゃぐしゃにしながら、視線の先のものを渡してやる。
やったでござるー!と言いながら箱を真っ先に冷蔵庫に持っていくのが幸村の日課だ。
わかっていてもちょっと寂しいぜ!

「元親お帰り、ご飯の前に話あるからちょっと座って」
「おー」

ジャケットをキッチンのイスに引っ掛けながら、いち、にぃ、さん、し。
あれ。一人多くね?

「あのねぇ元親。いくらあんたに拾い癖があるからって、女の子拉致って来たのはまずいんじゃない?」

佐助がはぁ、と溜息をつく。
一人多かったのは昨日の女だ。なんだ、帰らなかったのか。

「拉致って、人聞き悪いこといってんじゃねぇよ」
「こいつ、なんでここにいるか判らないとか言ってたぜ?」
「拉致じゃないなら状況説明してあげて」

政宗と佐助に言われるがまま俺は女の前に座る。

「とりあえずよう、名前聞いてもいいか?」

知らんかったんかい!!と佐助に殴られた。
このツッコミ属性め。

「あ、わ、私。です。あの、私、なんでここにいるんですか?」

何も覚えてなくて・・・と続ける女。
まーアレだけ飲まされてりゃあしょうがねぇか。

「は・・・?」

俺の洩れた言葉にが目を丸くした。

「いや、俺昨日の晩野郎共と飲みに出かけてたんだけどよう。その帰り道の最中ににあんた見つけたんだけど、高校生ぐらいのガキが何人かで誰か囲んでるもんだからてっきりカツアゲかなんかかと思って首つっこんだら、ぐでんぐでんになるまで酒飲まされてて、とりあえずやばそうだったからガキども帰してあんたに話聞いてみても会話にならねぇし。
あんたは家には帰りたくないとかいうし、ほっとくわけにもいかねぇだろ? それで家に連れて帰ってきたら、気持ち悪い吐く、とかいってマジで吐いたから仕方なく。仕方なくだぞ? 服脱がせて俺のシャツ着せて水飲ませて寝かしてやったんだけど」

言い終わったらシーンとして、少し間を押してがでこをぶつけるんじゃねぇかいい程の勢いで頭を下げてきた。

「すっ、すいません!!なんかもうほんとスイマセンなにから何までお手数かけたみたいで!!」
「別に気にすんなよ。困ったやつはほっとけねぇだろ?」

なっ!
と笑いかけたらの顔が見る見る真っ赤になった。
ごにょごにょともう一度すみませんと零しながら俯く。
黒髪から覗く耳まで林檎みたいに赤くなっていた。