あああああ!なんて人生の汚点!!
いくら逃げ出したかったからって馬鹿か自分!?馬鹿だな自分!!
まだ曖昧だけど若い人にお酒誘われたところは覚えてる・・・
ていうかべろんべろんになるまで酔わせるとかいけない手法の常套手段じゃん!!
もしも元親さんが居なかったら・・・あたし・・・襲われて、た・・・?

「しかしちゃんも豪気だねぇ。携帯も持たずに家出とか」
「つかよー世の中危険なんだぞ?財布もとられかけててたし」
「私の財布!!ありがとうございます元親さん!すっかり盗られたかと!ボーナスで買ったヴィトンの財布!」
「ボーナス?あんた社会人なのか?」
「あ、はい。高卒で地元で働いてます」
「見えねー」
「む、それなら政宗さんだってとても高校生になんか見えません!」

そのままなし崩しに夕御飯(という名のインスタントラーメン試食会)に突入し、 佐助さんが作った簡単なおつまみいくつかと、冷蔵庫の奥からどんどん出てきた缶チューハイを飲みながら話が弾む。
私は頂いた缶チューハイに口をつけながらだって政宗さん偉そうだし、と付け加えたら佐助さんが爆笑した。

「だよね、政宗なんかうちの暴君だもん」
「うるせぇぞ佐助!」
「まさむねどののがうるさいでござるー」
「「「・・・」」」
「なんれござるか?」
「酔ってますか?幸村君」
「Ah-,酔ってるな」
「ま、中学生だしねぇ」
「つーか誰も止めなかったのかよ」
「おれはころもじゃないれござるよー!」

ぷんぷん!と顔を真っ赤にしたまま怒る幸村君。
なんかすごい癒される。
私は缶チューハイをちびちび飲みながら切なくなった。
ていうか昨日お酒で失敗したのにまたお酒飲んでる自分って。 考えるのもなんだか面倒で、私はお酒で思考を滲ませた。

「私・・・家に居場所がないんです」

突然なんだとみんな私を見る。
だって、なんか、喋りたい気分なんです。
ほろ酔い加減で耳が熱い。
正直お酒は強くない。でも飲みたい気分なんだ。吐き出してしまいたかったんだ。

「私、3兄妹の末っ子で、上二人は結婚してるんですけど色々問題ありで、兄は、その、ちょっと体の弱い義姉さんと結婚して、姉は結婚に失敗して出戻って。両親は共働きで家の事あんまり省みないって言うか。祖父母はもうそんなに元気じゃないし、私だってやりたいこといっぱいあるのに家事とか祖父母のこととか任されて、でもそんなの家族の中じゃ当たり前で、だれも感謝してくれなくて、やって当然、見たいな顔されて?どんどん自分の時間がなくなって、仕事行って、帰って、家事して寝る生活?私は何のためにいるの?家族の世話するために?私の人生はあたしのなのに?なんで全部私に押し付けるの?って。

だから、もう嫌なんです。帰りたくないんです」

ぐず、とみっとも無く鼻をすすってチューハイを一気に煽る。
甘さばっかりでアルコールは低いけど一気に呷れば流石にくらっと来た。
気持ちのいい酔い方ではないが、なんかもう自棄なのかもしれない。

「・・・

ぐいっと頭をつかまれて、そのまま元親さんがぐるぐると髪後と撫で回すように私の頭を撫でた。

「も、元親さん?」
「あのよ、帰りたくねーなら、いつまでもここに居てかまわねぇぜ?」
「うん、それもそだねー。結構煮詰まってるみたいだし」
は見るからに自滅しそうなタイプだからな。暫く泊まればいいんじゃねぇ?」
どのー、おれたちといっしょにくらせばいいでござるー!」

あ、
と思う間も無くホロリと涙が出てしまった。

「お、おま!何泣いてんだ?!」

元親さんがビックリしてティッシュで私のほっぺだをごしごし拭く。
痛いけど、なんか優しい。

私、こんな風にありのままを受け入れられたの、初めてかもしれない。

「ありがと・・・ございます・・・」

耐え切れない涙にまた元親さんが驚いて、佐助さんが笑って。政宗さんと幸村君は心配してくれた。
なんて優しい家なんだろう。
私は暖かくなる胸に両手を押し当てた。





一つ屋根の下にての邂逅