「ただいまー」

今日は疲れた。もう疲れた。ご飯作りたくないからカップラーメンでいいよね。
そんなこと考えながらコンビニのビニールを持って帰宅。
現在7時。おなかすいたなぁ。

「佐助ぇ!!遅かったでござるな!!」

熱い抱擁でおで迎えしてくれる幸村。
うん、嬉しいけどね。熱い。

「いっつもこれくらいでしょ。政宗も帰ってんだ。二階?」
「う・・・あ、いや、政宗殿は・・・」

何故か言いよどむ幸村にどうしたのさ、と声をかけても、幸村はあーとかうーとかよくわからない呻きを返すだけ。
まぁ、いいけど。
コンビニの袋をキッチンに置いて、あれ、なんかキッチン綺麗なんですけど。
ついでに居間に振り返ったら、思わず仕事用の鞄を落としてしまった(商売道具が!!)

ブカブカのTシャツ一枚の女の子に政宗が馬乗り!?

「ちょちょちょ!!政宗なにしてんの!?」
「shit!!ここは大人しく見逃せよ佐助!!」
「変なこと言わないで早くどけて!!」

女の子は顔を真っ赤にしながら軽く政宗の肩を叩いてる。
政宗は特に気にした様子もなくニヤニヤしているが離れる気はなさそうだ。
えーっと、なに?どうゆう状況?

「じ、実は、政宗殿のピアスと殿の髪が絡まってしまい・・・」
?」
「わ、私です」

小さく右手を上げた少女は申し訳なさそうに自己主張。

「・・・幸村、はさみは?」
「見つからないでござる・・・」

はぁ、とガックリ大きな溜息。
ていうかなんで髪の毛とピアスが絡まるような状況になったのさ。

「とりあえず、解いてあげるから大人しくしててね」

絡まったままの政宗とちゃんの間に腰を下ろす。
目があったのでにこ、と一つ微笑みを落とせば急にぱっと赤くなったちゃん。
自分の営業用のスマイルの威力くらい知ってたから、どんな反応が返ってくるかなんて大概わかってたけどかーわいーなんて頬が緩んじゃったよ俺様。

「てめぇ。なんで佐助には赤くなってんだよ!」
「あ、赤くなんてなってません!」
「The lie is not good(嘘は良くねぇ).佐助より俺の方がカッコイイだろ!」
「だってあなた変なとこ触るじゃないですか!」
「変なとこぉ?」
「きゃぁぁぁ!!ふともも撫でないでくださいよこの変態!!」
「政宗殿ぉぉ!破廉恥でござる!!」
「政宗いい加減にしなよ」

ペチン、と軽く頭をはたいてちゃんに御免ねー。と笑いかけたらまた真っ赤になって視線を外されてしまった。
あらら、純情なのね!

多少の絡まりだけどぶきっちょな幸村じゃあ解けないよなぁこれは。
そんなことを考えながらするする髪を解いていく。
まだ染めた事もないのか、痛みのない髪はさらさらで逃げやすい。
それでも難なく解ききってしまえばちゃんが驚きながらも「あ、ありがとうございます」と例を述べた。

「チッ、せっかくのうまい状況だったのに」

そのセリフにちゃんがダッシュで俺様の後ろに隠れた。
ちょ、やばいほんとに可愛いんだけど。

「で、ちゃんは幸村の友達?それとも政宗の友達?いくら友達でも女の子がブカブカのTシャツ一枚ってのは危ないよ?」
「・・・はい。でも、あの、服がないんです・・・」
「はぁ?」

しょんぼりしてるちゃんをとりあえず置いといて政宗と幸村に事情聴取。
どうやら朝からソファで寝ていたらしい。俺様気づかなかったや。
しかもよくよく見ればシャツは元親のだ。

「なるほど、拾い者、ね」

長い付き合いになる友人の奇行は相も割らず突飛もない。
洩れてくるのは苦笑だけ。しかし自分も拾われた身なのだから何とも言えないところである。

「とりあえず、サイズが一番小さい幸村の服に着替えよっか」

ちらちら見えるブラの肩紐。
ピンクのレース、可愛いね、それ。と指差したらちゃんが更に真っ赤になった。
いやー、楽しい楽しい!