バイクで飛ばせば帰路は大体20分。
裏道走れば15分足らず。

「帰ったぜぇ」

バイクは塀によりかけてキーを抜く。
玄関でお気に入りのスニーカーを脱げば朝からあった小さなハイカットが目に付いた。

「政宗殿ぉぉぉ!!」
「Shut up!」

泣きついてくる犬。もとい幸村の頭をはたき、二階への階段に鞄を投げる。

「で、お姫様は?」
「まだ寝てるでござる」

ほんとよく寝る女だな。
朝からか?と聞き返そうとした瞬間、俺はその言葉を飲み込んでしまった。

「こりゃぁ・・・」
「すごいでござろう!?あの方は白雪姫でござろうか!?」

きちんと整理整頓されたリビングとキッチン。
それでも最初とほとんど物が動いていない。
大方散らかった部分を整理して、家主にもわかりやすいようにしておいたのか。
なるほど、良識はあるらしい。

「で、なんで白雪姫なんだ?」
「肌が白いでござる」
「・・・」

普段破廉恥破廉恥とうるさいチェリーボーイの癖に発言が変態臭いぜ幸村。
俺のじと目に気づいたのか、幸村は「ち。違うでござる!!」と訳のわからん弁解を始めた。
まぁでも童話の白雪姫も世話になった小人のために家事やらするもんだったな、確か。

「まぁ、よくわからねぇがどうせ元親の野郎の拾いもんだろ。もしくは女」
「お、おんな!?破廉恥なっ!!」
「だからうるせぇってんだろ!!」

思いっきり横っ面を殴ってやった。
いっておくがこれは暴力じゃねぇ。決してdomestic violenceじゃねぇ!!
ただのスキンシップだ。

「・・・ん・・・ぅ・・・?」

もそもそとソファに包まる女が呻く。
幸村は「ひっ!」とまるで珍獣を相手にするかのように俺の後ろに隠れやがった。情けねぇ!!
(ちなみに猛獣であればこいつは嬉々として向かっていくだろう)

「Hey girl, 起きな」

いい加減シーツをひったくってやれば、予想以上に小さい女が現れた。
胸元まで伸びた黒髪と、幸村の言った白い肌。熟れた唇は林檎の様で。
なるほど、白雪姫たぁ言い得て妙だ。
しっかし・・・

「You do very good means of transportation(なかなかいい足してんじゃねぇか)」

ぶかぶかのシャツ一枚から覗く白く柔らかそうな太もも+薄桃色の下着。
「破廉恥でござるぅあああああ!!!」
「うるせぇ!!」

佐助が帰るまでに誰がその鼻血の処理すると思ってんだ!!
今度は正面から思いっきり殴っておいてやった。