「あ、幸村だ」

最初に気づいたのは慶次さんだった。
俯いたままの幸村さん。元気がない?

「幸村さん?」

あたしは心配になって慶次さんと政宗さんを放置して急いで駆け寄る。

「ど、どうしたんですか?おなか痛いんですか?佐助さんに怒られたんですか?」
「・・・違うでござる」

辛うじて帰ってきた返答は心なしか弱い。
驚いたように目を剥く慶次さんと政宗さん。
あたしだって驚いてる。
こっちに来て随分経つけど、こんなに弱った幸村さんは始めてみた。

「どうしたんですか?幸村さん」

なんだか怖くなって下から覗き込むように幸村さんを見る。

「幸村さん?」

もう一度名前を呼んだら、幸村さんが小さな声で「」と私の名前を呼んだ。
ちょ、え、今!?え!?
そんでもっていきなりだ、抱きしめられっ!?ええ!?

「ゆゆゆ幸村さん!?」

外野で「何やってんだ真田ァ!?」とか「幸村ズルイ!!」とか妙な発言が聞こえる今はスルーだ。
だって幸村さんが、あたしのこと抱きしめて、って!って呼び捨てに!!

。好きだ」
「す、!?」
「某はやっと気づいたのだ!某ものことが好きだった!!今までのこの胸のもや。政宗殿や慶次殿がに触れるのは嫌だ。が某以外の名を呼ぶのも嫌だ!童の我侭と罵ってくださっても結構でござる。佐助に言われ、やっとこの想いの名がわかったのだ。某は・・・某は、を慕っておりまする」

「ゆき、むら、さん・・・」

「某の傍にいてくだされ。これからも、この先も」

ぎゅっと腕の力が強くなる。
あたしは顔を真っ赤にしながら、宙を泳がしていた腕を幸村さんの背に回した。
ああ、広く逞しい背中だ。

初めて私を世界から救い上げてくれた人。
微笑みかけ、名を呼んでくれた人。
逢いたかったと言ってくれた。
まずい団子をおいしいといってくれた。

この恋が報われなくてもいいなんて、嘘っぱち。

本当は、ずっと、こうしたかったんだ!

「幸村さん・・・」

あたしはすっぽりと埋まった幸村さんの腕の中で、その広い胸に顔を押し当てた。
どくどくと聞こえる心臓の音。
あたしの同じくらい、早くてうるさい。

「幸村さん、好きです。お慕い申し上げます」

この時代のように、しとやかに、腕の中で告白してしまった。

「某もでござる」

即答された告白に、あたしは胸のうちから溢れる気持ちを押しとどめることが出来なかった。
涙と「好きです」って言葉が大洪水。

この思いは恋でした。そして、愛なのです。

「ずっと、お傍においてくださいね」

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好きです。



誰よりも一番好き!!