一ヶ月も経ってないけど政宗さんから帰還許可が降りた!やった!

といわけで私は久しぶりに上田城に帰って来ました!!

で、も・・・

「幸村様!こちらの書類が!!」
「幸村様、お館様からの文が!!」
「幸村様!!城下での貿易商が!!」

とんでもないことになってます。

「・・・つまり、あたしの所為で幸村さんがお城を飛び出しちゃって政務に支障が出ちゃった、ってことですか?」
「まぁそうなんだけどね、俺も焚き付けちゃった一人だからちゃんがそんなに気を病むことないよ?」
「でも・・・」

だってだって!!
あたしの所為で幸村さんが叱られるなんてああああもうスイマセン!!

「でもあたしは、幸村さんに何もして上げられない」

文字も読めない書けない。
幸村さんのお役に立てない・・・

「ちょ!!ちゃん泣かないでよ!!」
「だって・・・」

あたしは幸村さんに迷惑かけてばっかりだ。
好きな気持ちばっかり空回って・・・

ちゃんのこと、旦那迷惑なんて思ってないよ?」
「・・・心を読まないでくださぃ・・・」
「だって俺様忍者ですから」
「なんでもありか!それにお給料日までお金ないからお団子も買ってあげられないし・・・」

団子・・・?

二人して顔を見合す。

「「団子を作ろう!!」」

という訳でお団子作りました!
乙女の必殺パート・・・とりあえず必殺技!!
手作り料理で気になるあの人を胃袋からがっちりキャッチ!大作戦!!
なんですが

「・・・おいしくない」
「初心者にしちゃいいほうよ?」
「でもこんなの幸村さんには出せない!!」
「某がいかがした?」

「わああ!!」

思わずさっと団子がのった皿を隠してしまったのは仕方がないだろう。

「この匂い団子でござるな?」

幸村さんの鼻がひくついて目がキラキラしてます。
ああ、でもこんな団子・・・泥団子のほうがマシっぽいもん。

「はい旦那、食べてみて」
「ちょお佐助さん!!」

隠した皿をひょいと取り上げられて、歪ながらなんとか串に刺さった団子が顔を出す。
うげ、自分でつくったながらマズそう!!
取り上げようと腕を伸ばしたけど幸村さんの方が早かった。
皿の上から串を一本。
躊躇う事無く口に運ぶ。もぐもぐごっくん。
うわああぁぁぁぁぁぁ!!!

「うむ、水っぽいでござる」
「う」
「弾力がなくてべちゃベちゃしておるし、甘みのかけらもないでござる」
「ううう」

「でも」

幸村さんがあたしを見る。
形の悪い団子をもう一つ口に運んで、もぐもぐごっくん。

「作り手の、相手を想った気持ちが感じられまする。
相手の為に、うまく作ろうとした気持ちの入った団子が、まずい訳がござらん」

そう行って幸村さんは三つ目の団子を食べて、もう一本と串を持つ。

「で、でも。ゆ、きむら、さん。おいしくないから、無理、しないでください・・・」
「無理などしてはござらん。殿の気持ちの入った、うまい団子でござるよ」

ああ、ああ!!
なんて人なんだろう!!
私は目頭が熱くなるのを感じながら、幸村さんが甘さのないまずい団子を間食するのを見届けた。
優しいとか、そんなんじゃない。
真っ直ぐあたしを見てくれている。
こんなあたしの団子を、おいしいといってくれている。
嬉しくて、幸せで、あたしはこんなにも幸村さんが好きだと、再確認させられてしまった。


11



好きすぎて



涙が出る!!