この戦国時代(?)にトリップしてからそろそろ一週間。 信玄様にも認められて、佐助さんにも認められて。 好きな人と一緒に一つ屋根の下なんてあたしなんて幸せなの? それでもやっぱり働かざるもの食うべからずなので、あたしは上田城のお女中さんとして働かせてもらっている。 「あ、そろそろ時間!」 あたしは台所のお女中さんたちに一声かけて抜け出す。 目指す先はもちろん修練所だ。 二本の槍を持って鍛錬に励む幸村さんはもう本気でカッコイイ! いっつも犬みたいなかわいい顔してるのに、ああいう鍛錬の最中はすごく真剣で、こっちがびりびり痺れるくらいの覇気があって。 上半身半裸で槍を振り回す幸村さんは踊るみたいに縦横無尽に見えない敵と戦っている。 最後に一振り。 びゅん、と空気を切る音が響いたあとは幸村さんの荒い息と汗が滴る音。 エロイ!!と叫びそうになる自分に鞭打って、あたしはそっと手ぬぐいを差し出した。 「殿!?いつから!?」 「ついさっきです。幸村さん」 「・・・っ!」 まだ下の名前で呼ばれなれないのか、幸村さんはそう呼ぶといつもちょっと固まる。 それでも気にしません!乙女ですから!! 「それから、お団子とお茶の用意もしましたから、休憩してください。ね?」 にっこり有無言わせないように笑って腕を引いて、風通しのいい外まで連れ出す。 「そ、某が団子を好きだと、何故?」 「佐助さんに聞いたんです。女の子は好きな人のことはちゃんと知っておきたいものなんですよ」 「す、好きな人・・・」 うーむ、相変わらず奥手な純情シャイボーイ。 そんなところも好きですけどね! 「はい、あの日一目会ったときから、なんていうかこう、電流走る!見たいな?」 一目惚れですよ。 にっこり笑えば幸村さんが赤くなる。かーわい! 「命を救われて、こうして衣食住まで保障してもらって。好きな人と同じところにいられるって、あたしすごく幸せです」 ああもうしあわせすぎて死にそう。 思わず両手で頬を覆ってしまう。自分マジ恋する乙女だよと笑ってしまった。 「あ。そろそろお仕事に戻りますね!幸村さん、汗はちゃんと拭いてくださいね!風邪引かないように!それから、今日も政務がんばってくださいね!」 それでは!と手を振ってあたしは急いで台所に戻る。 あんまり遅くなると女中頭サンにどやされるかんね。 「・・・旦那、顔真っ赤」 「うるさいぞ佐助っ!!」 「ちゃんて直球だねー」 「ううううるさいぞ佐助ぇぇぇ!!!」 ← |