ああもう真田の旦那が俺の言う事聞かないなんて仕えたころから判ってるよ?
でもね、成長してよ!!
旦那はもう武田の要でこの上田城を預かる城主なんだよ!?城主!
いつ命を狙われるかわかったもんじゃないのに一人で城でてよくわかんない子拾ってくるとかもー!この子が忍だったらどうすんの!?
忍びと馬の相乗り!?
ああもうそれ命がないよ?いいの?そんな無用心で!
命落としたりしたらどうするつもりなのさ!大将の上洛も見届けらんないよ!?

「あの、真田さんはご結婚なされてるんですか!?」

顔面蒼白でいきなり的外れなことを聞いてきた女の子は
旦那が山で拾ってきたんだって!!

「・・・旦那って言うのは愛称だよ。旦那は俺の仕える主でまだ未婚。わかった?」

いえば「ああよかった!」と満面の笑みで笑われた。
何がそんなによかったのさ。
ていうかなんで縛られてるのにそんなに平気なの?肝っ玉据わってる?

「佐助!殿は決して忍ではござらん!」
「わかってるよ・・・」

警戒心ゼロで気配も消せない子が忍びなわけない。
第一忍ならもう旦那と一戦交えてるだろうしね。

「あ、あの猿飛さん?」
「なぁにちゃん」
「え、えっと、真田さんは熊に襲われてたあたしを助けてくれたわけで、こうして時間に遅れちゃったのもみんなあたしの所為なんです。だから、えっと、真田さんを怒らないであげてください」

ペコリ、と頭を下げてしおらしいように謝られてしまえばまるで俺様が悪い見たいじゃん!
つーか旦那まで佐助ぇ!とかいって俺様のこと睨んでるし?
なにこれ?四面楚歌なの?

「・・・わかったわかった。じゃあ質問の矛先を帰るけどちゃん。君何処から来たのさ?」

見たことない服は南蛮ものか。

「えぇ!?えっと、どこからっていわれても・・・」
「じゃあそのへんな服何?」
「変とは失礼ですね!ちゃんしたセーラー服です!」
「せぇらぁふく?」
「もしかしてここに学校とかないんですか?」
「がっこう?」

・・・ダメだ。
俺様とちゃんが同時に呟いた。
旦那だけはよく判らないといった顔をしている。

「えーっと、とりあえず判る範囲で簡単にいえばあたしたぶん別の世界?から来たと思うんですよ。あと縛られてるのそろそろ痛いです」

別の世界?思わず反芻したらちゃんがそれ、といって取り上げた白い袋を顎で指した。

「それビニールっていって、この世界?じゃない素材だと思うんですよ。あとなかのはお菓子です。チョコレートっていって甘くておいしいですよ?」

甘くておいしいの言葉に旦那ががば!と反応する。
ちょっと、あんた、毒かもしれないじゃんか。

「あ、真田さん、よかったら食べます?」

ちょ、ちゃんもいい加減にしてよ!?

「うむ!それならありがたく頂くでござる!!」

おいおいおい!
止める間も無く旦那は「びにぃる」とか言う袋から何かを取り出す。
でもそれも初めて見る素材の何かで包まれていて、旦那もわかりかねてるみたいだ。

「あ、あー、あけましょうか?」
「頼みまする」

そう行って旦那がちゃんの縄を解いた。
殴っていい?旦那。

「コレは紙なんですけど、中がアルミでーこうびりーっと。はい、どうぞ」

茶色のそれを小さく割ってなつちゃんが旦那の口元に運ぶ。
旦那は大人しく口を開けてそれを放り込まれるのを待って、って!待って!毒見!!

「うっ!?」
「旦那!?」

まさか本当に毒だったのか!?
瞬間大型手裏剣をちゃんの首に標準を定めた。のだが。

「なっ!!!!なんっと美味なる菓子にござろう!!この幸村!!感激にござるぅあああああ!!!」

その大音量の叫びはもう大将と殴り愛してるかそれ以上の声だ。
思わず怪しいその茶色のそれを見詰めているとなつちゃんは俺様の口にも放り込んできた。

「あ、甘い」
「おいしいでしょ?」

へにゃっと笑った女の子。
こりゃあ敵でもなんでもないよ。
毒気を抜かれた俺様は、とりあえず最後に旦那が勝手に城を抜け出したことを説教しようと誓った。



02



なんで連れて



来ちゃうのさぁ!?