act,5 「お互い連れが多いから大変だけど、やっぱりデートくらいは二人っきりでいきたいもんだもんね」 「確かに。こんなとこまで子分ども連れてこれねぇからな」 屈託なく笑うと元親の後ろにはいつもあるべきものがない。 お互い不良だ何だといわれて付いてきた子分は数知れず。それでもやはり、デートの時くらいは邪魔しないで欲しいのだから仕方がない。 「悪い子達じゃないんだけどね」 「ちょっと一直線すぎるっつぅかな」 お互い持った似たもの子分の愚痴を零しながらも、二人はあたりの恋人たちに習って指を絡めた。風通しの悪い道のりと、連なる屋台が発する熱。しとりと汗ばんだ肌と少しの汗のにおい。たまにはこんな夜も悪くないと、どちらともなく思っていた。のだが 「お、カキ氷」 「あ、チジミ」 「なぁ冷しフルーツ食わねぇ?」 「イカ焼きが先じゃない?」 「チョコバナナは後で買うか?」 「焼き鳥もいい?」 「「・・・」」 そうしてお互い顔を見合わせ、そうして指を差し合って笑ってしまう。 「元親、女の子みたい!」 「うるせぃ!だってちょっとシブイだろうがよぅ!」 さすがに集団の前だと恥ずかしいが、恋人の前ならばどうってことない。お互い見目とは対極のものが好きというのは正直言って恥ずかしいが、相手に買ってもらう分には問題ないだろう。今二人が持っている焼きそばとクレープも、どちらが買ったかは言わずもがなである。 「順番に回ろうね」 「あたりめーよ」 「来年も、再来年も」 「二人一緒にな」 どちらともなく絡めた指先に力をこめる。二人の熱がこもる指先の熱さえも愛おしくては肩を揺らして心底楽しいといわんばかりに笑みを零した。 人の波が耐えない雑踏でただそっと身を寄り添い幸せを感じる元親の腕を引く。群生する木々の木陰に隠れ元親の服の裾を掴んで身を屈ませ、そうしてその唇を優しく奪う。 喧騒にかき消されるリップ音は確かに二人の鼓膜を震わせて、の頬が微かに朱を刺す。灯篭のオレンジの光がゆらゆら揺れて、それはすぐに夜に溶けた。 「焼きそばソースくさい女でも?」 にやりと猫のように目を細めて笑うに、元親は一瞬何事かと目を丸くしたが、の左手にある焼きそばを見て元親もまたにやりと笑い返した。 「こそ、生クリームの匂いのする男でいいか?」 数泊置いて、二人は耐え切れずにくつくつと肩を揺らして笑い声を殺した。 そうして重なる声で「最高の恋人」じゃない、じゃねぇか。と告げて、人目に隠れてもう一度キスをした。 |