幸村と佐助とあたし出学校の帰り道を歩く。 物心ついたころからずっとそう。 お隣さんとご近所さん。 幸村がお隣さんで、佐助はご近所さん。 男女3人今まで何年もつるんでいる。 そうして我が家に帰宅するのはいつも一番に幸村だ。 「お館様ー!!」 家に駆け込む幸村がそう呼ぶのは私の祖父。 でも生憎だけど今日じーちゃん居ないのよ。 「信玄じーちゃんなら今日上杉さんちで飲むって言ってたよ?幸村手ぇ洗って」 「む、そうだったのか、すまぬ」 そうして幸村が洗面所に行き、あたしと佐助がのんびり帰宅。 「あらま、大将今日も飲んでくんの?大丈夫なの?」 「んー、一応休肝日作ってるってたけどねー」 幸村の後に佐助と手を洗い、リビングのテレビのスイッチを入れる。 3人ででかいソファに座って少しだけ休む。 今日のご飯何にしよう? 「佐助と幸村ご飯どうする?」 「の手料理を食べぬわけがない!」 「俺様も!」 「聞くまでもないってか」 そうしてあたしは冷蔵庫を漁る。 肉じゃがにしよう。 「ちゃん手伝おうかー?」 「嬉しいけどあたしより幸村手伝ったげて。補習のプリント」 「佐助ぇ。頼む!!」 「しょうがないなぁ」 そうしてリビングのテーブルで佐助と幸村が補習のプリントを始め、あたしは夕食を作る。 今はじーちゃんと二人暮らし、親は揃って海外勤務だ。 じーちゃんはよく寂しくないかと聞くけど、佐助や幸村が居るからちっとも寂しくないよ。 「今日さー、DVD借りたの。恋愛もの。一緒に見る?」 「暇だしねー」 「見るでござる」 そうして夕飯の後電気を消して3人でまたソファに埋まる。 左側はのあたしの定位置。 普通に座って、右手で佐助の髪を時折撫ぜる。 真ん中の佐助はソファじゃなくて床にクッションしいて、お菓子の袋を持って座る。そうしてあたしの足元に体重を預ける。 右側に座る幸村は猫のように体を丸めながらソファで横になり、あたしの膝元に頭を寄せる。たまに膝枕になったりもする。 そして佐助のお菓子に手を伸ばす。ちなみに一番幸村が食べる。 あたし達は男とか女とか、そういう境界線が曖昧だ。 性別を意識する前からずっと一緒で、そしてこれからもずっと一緒なんだと思ってる。 この間かすがに聞かれた。 「一体どっちがすきなんだ?」 答なんてない。 どっちも同じくらい大切だ私大好きだ。 どちらか片方を選んでほしいといわれてもあたしは選べない。 この三人で居るのが一番心地いい。 「あたしって変なのかな?」 「んー?」 「どうしたでござる?」 「あのね、このまま一生3人で居たいって思うの」 陳腐な恋愛映画の内容はほとんど入ってこない。 ただ本当に、一緒にいたいだけなのだ。 「俺様も同じだけど?」 「某も同じでござるよ?」 一拍間を置いて、3人とも似たようなデレデレの顔。 「じゃーもー結婚しなきゃだよね」 そう言って笑って二人と軽くキスを交わす。 幼いキスは、猫の子のじゃれあいにも似たスキンシップの一つ。 どちらかなんか選ばない。 だって一生一緒に居てくれるでしょ? |
優 し く 埋 も れ て !